実績
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河川・海岸・砂防
2005年11月10日
住民参加型の川づくり
今日の川づくりは、住民意識の多様化や環境への関心の高まりを受け、様々な対応が求められています。
平成 9 年の河川法改正では「河川環境の整備と保全」が明確に位置付けられると共に、整備計画への住民意見の反映が盛り込まれました。
当社では、このような社会環境の変化を踏まえて、河川部門と計画部門が協働することにより、それぞれの得意とする技術を活して住民参加型の河川プロジェ
クトに取り組んでおります。
ここに、その一例として黒目川の川づくりを紹介します。
1.黒目川の取り組み(埼玉県)
黒目川は埼玉県の南西部に位置する一級河川で、流域の都市化が進展する一方で、黒目川が有する水辺空間と河川環境の大切さが理解されるようになってきておりました。
このような、住民意識の高まりを受け、埼玉県では黒目川の沿川住民、学識経験者及び行政機関による「黒目川改修計画策定委員会」を設置し、川づくりの基本方針と改修計画を検討することになりました。
同委員会では合同現地調査、パネルデスカッション、アンケート調査を実施し、黒目川のあるべき姿について多くの住民意見を反映した内容が取り纏められました。
また、工事が実施された区間について施工状況を検証し、委員会関係者と協議の上で課題を取りまとめ、整備計画案のモニタリングを行っております。
2.整備の基本方針
整備方針は、当面の計画雨量 152mm(50mm/h)に対して治水安全度を確保することを目標とし、自然環境の保全と再生を図ると共に、多くの人が散策や川あそび等ができる親水性を維持し、川づくりに地域住民が参加することを掲げました。
【当初計画の断面】
- 河床の一部だけを深さ1m程度掘削。
- 堤防を0.5~2.0m嵩上げする。
- 両岸の管理用通路は幅4mを確保し、従来通り桜並木の河道側に設置する。
【委員会で見直した後の断面】
- 河床全体を深さ 1m 程度掘削。堤防を0.5~2.0m嵩上げする。
- 当初計画より計画高水位を抑えられるので、堤防の嵩上げは数cmで済む。
- 管理用通路は幅3mとし、用地に余裕のある箇所では桜並木を堤内地側に移す。
- 法面勾配をゆるくする。(1:2.0→1:2.3)
3.関連業務実績
- 黒目川 黒目川流域川づくり検討 (平成7年度 建設省荒川下流工事事務所)
- 荒 川 葛飾区,墨田区荒川市民会議運営支援 (平成8年度 建設省荒川下流工事事務所)
- 北斗川 北斗川住民参加型河川設計 (平成9年度 愛知県岡崎市)
- 千種川 千種川自然体験ふれあい川づくり詳細設計業務 (平成12年度 兵庫県)
- 最上川 糠野目地区水辺の学校設計業務 (平成12年度 山形県高畠町)
- 日野川 日野川日吉津環境護岸等設計業務 (平成13年度 国土交通省日野川工事事務所)