実績
TUNNEL
トンネル
住宅地内を通る「つつじヶ丘トンネル」
「つつじヶ丘トンネル」は、東京都八王子市並木町地内の国道20号線(甲州街道)から横川町地内の主要地方道46号線八王子あきる野線(高尾街道)を結ぶ全長約2,080mの八王子市都市計画道路3・4・57号線の中に位置する304mのトンネルです。
八王子市北西部地域から中心市街地への交通は陣馬街道に頼っていました。トンネルを含む本路線は、陣馬街道の渋滞緩和を図ると共に将来の北西部地域の交通需要に対処するために計画された東京都内の重要な補助幹線道路です。
本事業は、「交通アクセス機能が飛躍的に向上、バス路線の開通による地域住民の利便性の向上に寄与したこと」また、「自然との調和を図ったトンネル坑口デザイン、丘陵地の景観を大切にした整備」が評価され、『第20回全国街路事業コンクール』において特別賞を受賞しました。
1. 「つつじヶ丘トンネル」の計画概要
トンネル延長L=304mの内、起点側L=55.4m及び終点側L=14m区間は開削トンネル工法で整備し、中央部L=234.6mは山岳トンネル工法(NATM工法)で整備しました。本トンネルは住宅密集地を通る都市トンネルです。一方、極めて土被りの浅いトンネルでもあります。そのため、設計はFEM解析に基づき、住宅地への影響等を考慮して、掘削工法は上半中壁工法を、補助工法は垂直縫地ボルト工法・注入式フォアパイリング工法を採用しました。
2.周辺環境への取り組み
本トンネルは住宅地を通過する都市トンネルであるため、施工時はもとより開通後においても、周辺住民の生活環境を考慮する必要がありました。
施工時における周辺住宅地への配慮
起点側(長房側)住宅地及びトンネル中央部における宅地では、トンネル掘削に伴う地盤変位により地表の地盤沈下や傾斜の変状をきたす危険性が高く、わずかな沈下でも家屋に変状を来たすことが懸念されました。したがって地盤の緩みを確実に抑えるために、遮断防護工として柱列式連続壁工法を採用しました。また、施工時においては、わずかな変位挙動も把握するため、光学式地盤変位計を用いて常時計測管理を行いました。
開通後における周辺住宅地への配慮
周辺住宅地は第一種住居専用地域であるため、トンネル坑口周辺の騒音問題を解消するに当って、トンネル内舗装は通常のコンクリート舗装ではなく低騒音型舗装であるコンポジット舗装としました。
また、トンネル内に吸音内装版を設置し(右写真トンネル内空上部参照)、周辺住民の生活環境を考えて、騒音を出来る限り低減するような設計を心がけました。